平成13年5月30日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「五月雑感」 吉田幸太 選
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九条に触れずにおこう五月晴れ |
黒嶋海童 |
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五月闇思い悩んでいる鴉 |
竹信与志夫 |
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返信は風薫るから書き始め |
椙元世津 |
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爪みどり染めて素足の五月晴 |
小西慶子 |
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公園の像はみな裸婦夏木立 |
近藤敦子 |
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ガーデニング五月のバラと写される |
前川千津子 |
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逢いたくてみどりの風を追う女 |
吉川千穂 |
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一斉にみどりとなって皆仲間 |
山中忠 |
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五月晴子等と頬張るにぎり飯 |
古谷日出夫 |
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期待通りのブラウス貰う母の日に |
尾畑晴代 |
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金なくも空の青さに心晴れ |
水田象介 |
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ネクタイはもう締めてない五月病 |
泉比呂史 |
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天仰ぎ力抜く日の鯉のぼり |
椙元世津 |
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弱い子の枕に飾るよろい武者 |
杉山清流 |
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草焼きの跡一面の黄のすみれ |
萩原皐月 |
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風見鶏五月の風に向きを変え |
福島直球 |
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初かつおあなた恋しい海の碧 |
花田俊枝 |
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半袖にスカッとなって風邪をひき |
椙元世津 |
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五月病通りぬけたか縞のネクタイ |
中西保子 |
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わたしの殻を脱いで五月の空へ翔ぶ |
上村さな恵 |
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まだ赤のカーネーションが買える幸 |
黒嶋海童 |
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連休に山菜たずねゆく山路 |
仲田秀子 |
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菖蒲湯の匂に心しづまれる |
尾畑晴代 |
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朝掘りの筍とどく文添えて |
仲田秀子 |
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変人も一寸まともになる五月 |
竹信与志夫 |
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風薫るバス停にいてサングラス |
吉川千穂 |
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満潮に追われて走る潮干狩 |
神田巳珠 |
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ふくふくとたぎる思いの木の芽どき |
田中加津子 |
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緑風の満ちて約束の花時計 |
萩原皐月 |
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五月空やはりチラホラ鯉のぼり |
田中要保 |
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田植えのすんだ田んぼに子等の声ひびく |
坂本須磨代 |
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さわやかな風に噂が来る季節 |
吉川千穂 |
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冷奴味の深さがわかり出す |
山中忠 |
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ふんわりと五月の雲にキューピッド |
みぎわはな |
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解禁で鮎に受難の日が続く |
松井恵夢 |
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五月病社会の波の高さ知る |
長野峰明 |
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菖蒲湯に浮世の垢がういている |
中西保子 |
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五月です柏餅です佛様 |
尾畑晴代 |
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不自然にひとりぽっちの五月晴れ |
山田蔦路 |
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五月女の謂れも遠く米を研ぎ |
長野峰明 |
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赤い靴履いて緑の野を駆けよう |
みぎわはな |
人 |
金色のスプン五月は母の日だ |
花田俊枝 |
地 |
気持ちよく五月の空を鯉泳ぐ |
前川千津子 |
天 |
あの時と同じ夕陽と思う丘 |
長島敏子 |
軸 |
新婚の五月は眠い朝茶漬け |
吉田幸太 |
兼題 「レモン」 竹信与志夫選
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レモン料理なら出来ると新妻自慢げに |
青木公輔 |
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レモンティー喉ごしにある夏遍路 |
山中忠 |
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リラックス出来るレモンと午後の椅子 |
吉川千穂 |
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神さまに赦されレモン厚く切る |
山本ひさゑ |
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レモン水母はお洒落なひとでした |
田中要保 |
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レモン噛むくせはさびしくなった夜 |
仲田秀子 |
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一滴のレモンに心澄んでくる |
泉比呂史 |
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爽やかさんに会った貴女はレモンティ |
小山紀乃 |
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連休明けレモンとことん搾りきる |
沼尾美智子 |
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手を洗いレモンみつめてからおんな |
吉川千穂 |
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頬寄せてストロー二本にレモネード |
水田象介 |
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レモンティ妻はゆっくり語り出す |
田中要保 |
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美しくなりそうレモン湯にひたる |
近藤敦子 |
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いつもあなたをここで待ってるレモンティ |
仲田秀子 |
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レモンしぼる親娘何やら秘密めく |
中本三桂 |
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おめでたの兆しかレモン丸囓り |
上村さな恵 |
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レモンざっくと輪切りに裁く猜疑心 |
長野峰明 |
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薄切りのレモン五月が透けている |
近藤敦子 |
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逢えぬ想いレモン一個を絞り切る |
村上氷筆 |
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海老フライ、レモン一敵背筋伸び |
吉田幸太 |
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レモンティー愛の答えがまだ出ない |
古谷日出夫 |
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指きりの余韻に浸かるレモンティ |
竹内カズヒト |
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レモンかじれば左脳が早く回りだす |
中西保子 |
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酎ハイにレモン時には妻もうさ晴らす |
沼尾美智子 |
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色直しレモンの涙遠くなる |
杉山清流 |
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レモンはイエロー過去の苦さをまっぷたつ |
中西保子 |
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レモンスカッシュ泡消えるまで抱く未練 |
長島敏子 |
ラ |
鈍感な彼にレモンをきつく滴らす |
みぎわはな |
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夢を追う少し背伸びの青レモン |
山本ひさゑ |
佳 |
何の忘れ物やろレモンの匂いする |
青木公輔 |
佳 |
何もない午後レモンティの海にいる |
花田俊枝 |
佳 |
レモンぎゅっと絞って愛をふりほどく |
御影静 |
佳 |
終章はレモン一個の愛でよい |
樋口祐子 |
佳 |
レモン厚切り女人哀歌を口ずさむ |
杉山清流 |
人 |
好きだからレモン搾ってあげましよう |
黒嶋海童 |
地 |
生かされて生きるレモンをサクと切る |
赤井花城 |
天 |
レモンころころやっぱり彼に決めました |
長島敏子 |
軸 |
子ばなれの歩巾ふたりのレモンティ |
竹信与志夫 |
兼題 「草原」 萩原皐月 選
ラ |
草原にあれミヨちゃんの夏帽子 |
黒嶋海童 |
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草原が優しく光る雨のあと |
椙元世津 |
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遠し日のしろつめ草の首飾り |
近藤敦子 |
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故郷のはらっぱ猿飛佐助の頃がある |
長野峰明 |
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何もかも忘れサバンナの風に |
小山紀乃 |
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草原に夢を盗んだ貘がいる |
黒嶋海童 |
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焼き尽くしても甦る草の原 |
赤井花城 |
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戦跡の碑の草原に寝ころがる |
赤井花城 |
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草原をおんなが話すまで歩く |
泉比呂史 |
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帽子追いかけ草原の風になる |
みぎわはな |
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草原で踊っているのは風小僧 |
山中忠 |
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草原に抱卵のあり野火迫る |
長野峰明 |
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大の字で雲と対話の草っ原 |
長野峰明 |
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草千里遠い日の虹追うている |
樋口祐子 |
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草原に寝ると地球は温かい |
橋本衛門七 |
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草原で野次馬の靴磨いてる |
山中忠 |
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草原に誰も知らない青い月 |
中西保子 |
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おにぎりを頬張る草原の五月 |
尾畑晴代 |
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モンゴルの草原の娘の瞳は優し |
井元照夫 |
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草原を住かとするかわが老後 |
樋口祐子 |
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草原に着くと背伸びがしたくなる |
椙元世津 |
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写真展草原をゆく赤いほほ |
沼尾美智子 |
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草原で小便をする風緑 |
水田象介 |
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どやどやと草原に来たにぎり飯 |
山田蔦路 |
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草千里から戻れない馬の骨 |
竹内カズヒト |
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草原に他愛なくねむっているほとけ |
伊佐次無成 |
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草原にねころび私漂わす |
近藤敦子 |
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大草原歴史は錆びた兵の血よ |
坂下安伸 |
佳 |
草原の夕陽素直になるわたし |
御影静 |
佳 |
草千里きっぱり捨てて来た昨日 |
長島敏子 |
佳 |
サバンナも雨季か夕陽が見つからぬ |
長島敏子 |
佳 |
草原に落としたコンタクトレンズ |
泉比呂史 |
佳 |
草原の風から妻の受胎聞く |
松井恵夢 |
人 |
草原で母は素足になっている |
前川千津子 |
地 |
草原の向こうに棲んでいた蛍 |
竹信与志夫 |
天 |
草原に寝転ぶ保護色になった |
尾畑晴代 |
軸 |
草原に憩う回線は切ってある |
萩原皐月 |
兼題 「再び」 杉山清流 選
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再会にこえてみようか過去の溝 |
仲田秀子 |
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この橋を渡れば再燃の怖れ |
山本ひさゑ |
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再びの出会いに弾むブーメラン |
上村さな恵 |
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再びの季節に花が咲いている |
椙元世津 |
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月を相手に再出発の酒に酔う |
上村さな恵 |
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再会の紅蓮の炎身を焦がす |
村上氷筆 |
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ああ再会印象深きループタイ |
山本ひさゑ |
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勘当ふたたび親より大事な人がいる |
中西保子 |
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再婚に反対説の無い不安 |
みぎわはな |
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再発行出合ったころの三か条 |
沼尾美智子 |
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再婚のブーケは明るい色を選る |
泉比呂史 |
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告白はこの次逢うてからかしこ |
長島敏子 |
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ゆるせない日もありふたたびの灯をともし |
伊佐次無成 |
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案の定犯人は現場へ舞い戻り |
長野峰明 |
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もう二度と逢えない人の背に祈る |
松井恵夢 |
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再婚の決意へ故郷の川光る |
橋本衛門七 |
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新聞に再会できぬ友の訃が |
神田巳珠 |
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再会の握手昔の絵を点す |
花田俊枝 |
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リサイクルショップ素性の知れた椅子を買う |
沼尾美智子 |
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再びは会えない人が胸に棲み |
椙元世津 |
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太いキセルが敷居を二度と跨がせぬ |
長野峰明 |
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記念写真再びみんな揃うかな |
近藤嘉宏 |
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再びのチャンス逃がしてなるものか |
赤井花城 |
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再婚という一寸氣になる友の春 |
竹信与志夫 |
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再びは会うまい大きな川がある |
萩原皐月 |
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追い風に乗ってあの女と再婚す |
樋口祐子 |
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二匹目の泥鰌は回れ右をする |
竹内カズヒト |
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靴ひもを結び直して再びを |
御影静 |
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再びの進軍ラッパは吹かないぞ |
井元照夫 |
佳ラ |
沙羅双樹恋再びの無きにしも |
山本ひさゑ |
佳 |
ふたたびの職場で父が生き返り |
吉野瑛二 |
佳 |
再会を誓う指切りほどけない |
村上氷筆 |
佳 |
再生日本小泉さんへ期待する |
前川千津子 |
佳 |
再会に豪華な指輪見てしまう |
泉比呂史 |
佳 |
再びの愛燃えあがる三面鏡 |
山中忠 |
人 |
甘い顔すると再び貸せと言う |
黒嶋海童 |
地 |
二度跳んで三度転んだ膝頭 |
長島敏子 |
天 |
再会にさんごの帯留め弾んでる |
中西保子 |
軸 |
再婚話凛とした母の背中 |
杉山清流 |
兼題 「狙う」 泉比呂史 選
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再婚を狙い強気な赤い服 |
山田蔦路 |
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事みなが狙いどおりにゆく怖さ |
村上氷筆 |
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満月に狙われている串だんご |
花田俊枝 |
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敗者復活男が狙う金バッヂ |
井元照夫 |
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明らかに私を狙うのはとんび |
山本ひさゑ |
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くじ売り場一発狙う顔で立ち |
椙元世津 |
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玉の輿狙う姉貴は別居する |
山田蔦路 |
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断れぬ性格狙い打ちにされ |
福島直球 |
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アウトレット狙いの外の客にされ |
近藤嘉宏 |
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狙っているのは私だけの昼下がり |
田中加津子 |
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モナリザの笑くぼを狙うそれも愛 |
山中忠 |
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底辺の暮らしを狙うすきま風 |
中本三桂 |
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狙われているとは知らぬ鞄ゆれ |
上月智恵子 |
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満中陰遺産を狙う顔揃う |
黒嶋海童 |
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年寄を狙う悪魔の目を憎む |
古谷日出夫 |
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標的にするには丁度いい帽子 |
長島敏子 |
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あまり隙だらけで狙うのはやめる |
福島直球 |
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狙われたらしい後ろへ眼を付ける |
中西保子 |
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男ゆえ一番高い峰狙う |
黒嶋海童 |
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逆転を狙いひそかに石を積む |
御影静 |
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三億を狙う小さなくじ売り場 |
沼尾美智子 |
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ボーナスのタンス貯金を狙われる |
上村さな恵 |
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後ろポケッとっても好きなスリの指 |
長野峰明 |
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銃口がみんな私に向いている |
田中要保 |
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狙われている直球で勝負する |
福島直球 |
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春愁や女を狙う歳も過ぎ |
橋本衛門七 |
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志望校狙う夜学の灯が更ける |
松井恵夢 |
佳 |
援軍は未だ最後の矢引き絞る |
赤井花城 |
佳 |
振り向かぬ男へ狙うゴムバンド |
山本ひさゑ |
佳 |
ホームスチールさよならゲームとは愉快 |
前川千津子 |
佳 |
まだ灯る国家資格を狙う部屋 |
仲田秀子 |
佳 |
インクつぼ亡父は何かを狙ってた |
仲田秀子 |
人 |
逆転を狙うバットが空を切る |
近藤敦子 |
地 |
菊展へ金賞狙う苗を選る |
古谷日出夫 |
天 |
狙うならあなたの胸のど真ん中 |
長島敏子 |
軸 |
狙ったらはずさぬひとと月に逢う |
泉比呂史 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
長野 峰明 |
水田 象介 |
山田 蔦路 |
松井 恵夢 |
上村さな恵 |
花田 俊枝 |
吉川 千穂 |
中西 保子 |
山中 忠 |
沼尾美智子 |
杉山 清流 |
黒嶋 海童 |
仲田 秀子 |
椙元 世津 |
竹信与志夫 |
神田 巳珠 |
古谷日出夫 |
長島 敏子 |
橋本衛門七 |
田中 要保 |
前川千津子 |
泉 比呂史 |
近藤 嘉宏 |
近藤 敦子 |
坂本須磨代 |
小西 慶子 |
尾畑 晴代 |
萩原 皐月 |
みぎわはな |
田中加津子 |
福島 直球 |
吉田 幸太 |
伊佐次無成 |
井元 照夫 |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
竹内カズヒト |
坂下 安伸 |
山本 ひさゑ |
小山 紀乃 |
吉野 瑛二 |
中本 三桂 |
青木 公輔 |
上月智恵子 |
御影 静 |
村上 氷筆 |
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