平成13年3月20日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
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特別席題  「ペット」  毛利きりこ 選
どこの犬今朝も掃除をさせられる 椙元世津
ワニよく太り飼主が見当たらず 水田象介
親の墓よりもよく行く犬の墓 福島直球
マンションのペット鞄で連れ出され 泉比呂史
人間不信ペットが生きる野生の血 倭玄海
文鳥が産み続けてる無精卵 瀬川凪子
ペットショップ目と目が合って家の子に 小西慶子
出迎えは犬に任せた高鼾 竹信与志夫
金せびるまでに育ったペットたち 斎藤功
へそくりを隠すところを猫見てる みぎわはな
捨てないよ引っ越し荷物に猫も乗せ 中西保子
飽食はペツトに及びダイエット 荒垣秋野
主人よりペットの飯に氣を使い 水田象介
自分がペットだ何て露ほども亀知らず 島田握夢
不機嫌なポチはやっぱり横を向く 山田蔦路
九官鳥死んだ夫の声で呼び 黒嶋海童
ポチ公が俺を見下している順位 瀬島流れ星
帰りを一番喜こぶのはペット 荒垣秋野
白鳥をペットと思うパンのくず 前川千津子
川の字の真ン中猫が鼾かき みぎわはな
人間の相手飽きたと猫出掛け 福島直球
進化するアイボがボクのカウンセラー 村上氷筆
子が巣立つペツトの数が増えている 瀬川凪子
桜降るそこはペツトの眠る丘 仲田秀子
缶ビールのめるペットに春の酔 吉川千穂
招き猫両手をあげて店じまい 山中忠
ペットに好かれ彼女の返事いまひとつ 瀬島流れ星
飼い主の無口がうつる九官鳥 小山紀乃
てのひらに乗せたペットの値を訊かれ 泉比呂史
ちょっと間の抜けてる犬で愛される 福島直球
すがる眼と合って仔犬を買うてくる 赤井花城
ペットフードに戦時の飢えが腹を立て 長野峰明
口紅を差すとペットも紐用意 小西慶子
震災後同志となった犬とボク 村上氷筆
足を病むわたしにペット歩をあわす 仲田秀子
ペツトには本音を洩らす日曜日 毛利きりこ

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兼題  「割れ物」  御影静 選
草野球ガラスが割れて夕焼ける 泉比呂史
投げつけた皿が割れないこともある 泉比呂史
大地さえ割れたあの日が蘇る 瀬川凪子
やさしさがほしい土鍋であたたまる 吉川千穂
いい仲間揃いのグラス又欠ける 水田象介
植えかえへ鉢を割るほど根が回り 椙元世津
一豊の妻には遠い植木鉢 古谷日出夫
思い切り茶碗を割ってみたいウツ 赤井花城
一枚が割れて気楽に使う皿 長島敏子
ひびが入ってからえらい値打ちもんに見える 島田握夢
どの順に割れたかしゃぼん玉消える 椙元世津
耐熱にわれたい時もあるガラス 樋口祐子
ひび入った茶碗で愛を汲みつづけ みぎわはな
水鏡こわれて覚める白昼夢 毛利きりこ
石割れて童話の花が咲いている 中本三桂
割れた小皿が一枚不気味な定位置に 青木公輔
磨くほどグラスも光る恋ごころ 吉川千穂
割れ物注意天地無用の嫁が来る 坂下安伸
欠け碗で茶漬けを啜る倦怠期 みぎわはな
壊された物の一つに恋櫓 大橋克己
ひとつずつ命を割っている卵 小山紀乃
丹念に愛のカケラを接ぎ合わせ みぎわはな
土の鈴ほろほろ別れられず鳴る 花田俊枝
流氷にもぐり神秘の精に会う 萩原皐月
ひび割れた仮面の愚痴をきく屋台 竹信与志夫
センターライン越えて茶碗はでに割れ 長野峰明
戻れない娑婆に未練の茶碗割る 倭玄海
古井戸に吹く風皿の数え歌 黒嶋海童
生命の神秘が育つ試験管 中西保子
割れ鍋に連れ添う蓋のない不幸 藤川芳醇
海割れて地球の神秘歌になる 黒嶋海童
フロント硝子向こうの霧は晴れぬまま 竹信与志夫
炎に耐えた過去は言うまい素焼壷 長島敏子
唐陶器矯めつ眇めつ罅を読む 大橋克己
投げられた茶碗と喜劇始まった 小山紀乃
子離れの余韻対茶碗の嘆き 竹信与志夫
薄氷ふんで春陽にまっしぐら 長島敏子
ガラス細工の猫が吐息でこわれそう 御影静

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兼題  「架空」  島田握夢 選
くらしとは別に億兆耳に慣れ 大橋克己
ホスピスの窓に童話の勢揃い 小西慶子
ルールさえ知らずサッカーくじを買う 大橋克己
交差点架空の恋に会えますか 吉川千穂
Xは誰かと妻の目が尖る 村上氷筆
ホラだとは思うが妙に真実味 村上氷筆
二十五時おんな架空の面はずす 仲田秀子
天馬にもなれる無限大のいのち 小山紀乃
美しい誤解の上のペンネーム 瀬川凪子
架空論切々と説く目がきれい 御影静
ままごとの世界のままに年が老い 椙元世津
ペテン師が空に見事に○を書き 黒嶋海童
絵空事ばかり並べて借りに来る 黒嶋海童
架空の餌で善人を釣る二枚舌 長野峰明
ハエ二匹合体をして人となり 水田象介
尼さまの架空の日々に憧れる 花田俊枝
一枚の架空伝票波紋呼ぶ 吉野瑛二
雪掴む話にすぐに乗ってくる 赤井花城
追求の架空のまんま生きている 山田蔦路
人妻をかばい架空の名で記す 坂下安伸
偏頭痛悟空の悪さかもしれぬ 坂下安伸
恋人があることにした寒い語尾 泉比呂史
関西弁すらすら話す宇宙人 御影静
皺がのびた夢をみて鏡を見る 山中忠
架空ですひたすら耐えて聞いてます 田中加津子
架空でもドラマで泣ける人が好き 倭玄海
絵空事とびかい株があがった 田中加津子
むかしむかしの咄聞いてる青蛙 竹信与志夫
今日は暇真面目な嘘を聞いてやる 山中忠
王子様迎えるカーテン春色に みぎわはな
架空ではたくさん好きな人がいる 前川千津子
絵日傘くるり架空のひとに恋をする 花田俊枝
架空放送言いたいことが言えました 前川千津子
架空のひとの貌を写して春ひとり 花田俊枝
架空名義は菜の花としています 樋口祐子
モデルのような私が歩く春の街 椙元世津
埋蔵金の話に欲呆け引っ掛かり 島田握夢

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兼題  「善し悪し」  村上氷筆 選
拳骨に善し悪しは無い父の愛 黒嶋海童
世話をして善し悪し意見みな違い 椙元世津
善し悪しを言うてはおれぬ三十路すぎ 仲田秀子
美人だがなんとお酌の無愛想 水田象介
善し悪しは言えぬ子供の贈り物 井元照夫
やさしい言葉もらって鞭と感じる日 花田俊枝
世話やきの母がおりますまだ嫁けぬ 中西保子
慎重も善し悪しウヤムヤに終わる 小山紀乃
婚約日彼女のママが綺麗すぎ みぎわはな
惚れ薬善し悪しはまだ試験中 斎藤功
五割引き五割分だけ浪費する 山中忠
列につく事の善し悪し知らぬまま 長島敏子
善し悪しを弁えるのに半世紀 樋口祐子
よしあしに係わりなくて花は咲く 上月智恵子
転勤であちこち暮らす善し悪し 中本三桂
緊急入院医者の善し悪し言うとれず 福島直球
善し悪しを神籤に問うて又迷う 坂下安伸
叱るのは善し悪しそっとしておこう 御影静
四度目を許してくれる神がいる 山中忠
善し悪しは親に聞くより試す子ら 倭玄海
綺麗だけなら兎も角頭もいいと言う 島田握夢
善し悪しは女の肌にある温み 倭玄海
百薬の長もちょいちょい羽目外す 大橋克己
善し悪しを思い珈琲ひかえめに 前川千津子
善し悪しのはざまで揺れる青い首 御影静
善と悪背中合わせの深情け 長島敏子
善し悪しのわからぬうちに芸しこむ 中西保子
ゴミ箱に善し悪今日も捨ててある 坂下安伸
善し悪しは親の背を読む子の瞳 倭玄海
善し悪しを問えば情けの輪が軋む 長島敏子
仮面など持たぬ素顔の善し悪し 竹信与志夫
善し悪しはとうに呼んでる弥陀の顔 黒嶋海童
善し悪しの真ん中に立つヤジロウベー 長野峰明
真実を告げたら折れる葦である 赤井花城
善し悪しの悪しのところに惚れている 島田握夢
ガン告知議論は尽きぬ第二幕 瀬島流れ星
善し悪しのけじめに亡父が顔を出す 村上氷筆

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兼題  「誰」  福島直球 選
誰にでもやさしい夫かも知れぬ 泉比呂史
電話先誰れかがわかる丁寧語 斎藤功
誰にでも言えぬ秘密を聞くペット 村上氷筆
誰もみな輝くいのち日は西に 小山紀乃
誰のため鐘を鳴らすか冬岬 山中忠
誰彼へ愛想の良さで疎まれる 坂下安伸
わたくしを看取ってくれるのは誰だ 赤井花城
朝鏡昨夜のわたしでないわたし 吉野瑛二
花の冷え誰も心に闇を持つ 上月智恵子
どなたとは聞けずとにかく笑いかけ 毛利きりこ
シャネルの5今日もつけてる誰のため 花田俊枝
目かくしの手の香水に憶え無い みぎわはな
誰彼に笑顔ふりまくサクラサク 村上氷筆
お人好し誰に似たのか青りんご 竹信与志夫
夢風船とばしているのは誰と問う 田中加津子
誰が為に流す涙か夢枕 長島敏子
誰れ彼れに傷の自慢をしてる予後 黒嶋海童
誰からも愛されているお人好し 山田蔦路
女ひとり誰もしらない過去の傷 吉川千穂
誰にでも好き好きと言う九官鳥 前川千津子
誰にも言えずあたためている小さな恋 仲田秀子
誰だろう湯槽に首が浮いている 黒嶋海童
誰も知らない涙でにじむ日記帳 仲田秀子
誰からも無理と言われて湧く闘志 古谷日出夫
独身なら誰でもいいと選っている 島田握夢
誰にでも水仙あげる島ゆたか 前川千津子
誰に会うのか鏡の前が長過ぎる 竹信与志夫
菜の花の向こうで誰か待っている 樋口祐子
誰とは言わんがと遠まわしに叱る 島田握夢
誰ひとり母の祈りを知らぬ春 山中忠
昼日中誰も気付かぬひとりの死 萩原皐月
大声の誰憚からぬ人気者 椙元世津
誰れかしらいつも掃除が行き届き 荒垣秋野
留守電の可愛い声は誰かしら 泉比呂史
誰かさんと月見て暮らす春はうたかた 花田俊枝
かくれんぼ誰も残らず陽は西に 坂下安伸
かたつむり今日は誰とも喋らない 古谷日出夫
誰とは云わないが貧乏神が居る 福島直球

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【出席者】 (順不同・敬称略)
村上 氷筆 長島 敏子 古谷日出夫 泉 比呂史 毛利きりこ 山中  忠
斎藤  功 水田 象介 大橋 克己 福島 直球 小西 慶子 瀬島流れ星
瀬川 凪子 みぎわはな 前川千津子 小山 紀乃 中西 保子 井元 照夫
黒嶋 海童 倭  玄海 山田 蔦路 長野 峰明 花田 俊枝 吉川 千穂
藤川 芳醇 仲田 秀子 樋口 祐子 竹信与志夫 御影  静 椙元 世津
荒垣 秋野 島田 握夢 坂下 安伸 田中加津子 赤井 花城

【投 句】
中本 三桂 青木 公輔 吉野 瑛二 上月智恵子 萩原 皐月

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