平成12年11月23日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「ハプニング」 赤井花城 選
ラ |
野次席へコップの水をぶっかける |
黒嶋海童 |
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ハプニング続出暮れの永田町 |
上村さな恵 |
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綱引きのロープが切れる世紀末 |
黒嶋海童 |
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ハプニング長いドラマが宙に舞う |
大熊純三 |
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突風があらぬ噂をまき散らす |
古谷日出夫 |
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ハプニングノーベル賞に結びつき |
椙元世津 |
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父さんが見知らぬ子を連れ祭りの夜 |
倭玄海 |
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ハプニング期待している一人旅 |
荒垣秋野 |
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とっさの事で妹と紹介し |
水田象介 |
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ハプニング卵がわれてチャンス到来 |
田中加津子 |
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原稿を忘れアドリブで受ける |
みぎわはな |
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披露宴婚前旅行ばらされる |
泉比呂史 |
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別れた女とおでん屋で会うハプニング |
井元照夫 |
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真正面で大あくびされ吃り出す |
みぎわはな |
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お隣りと変な所で鉢合わせ |
水田象介 |
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昔昔の恋人に会うハプニング |
前川千津子 |
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この道で神に出逢ったハプニング |
尾畑晴 |
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見知らぬ女が隣に寝てる二日酔 |
島田握夢 |
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猪と出逢う夜明けの散歩道 |
萩原皐月 |
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ハプニングノーベル賞になるその後 |
毛利きりこ |
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ドンデン返し三度人生面白い |
青木公輔 |
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突風に夫の帽子を追いかける |
萩原皐月 |
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ハプニングづくしで育ち反抗期 |
小西慶子 |
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またしても末席からのハプニング |
吉野瑛二 |
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ハプニングに逢えそう左へ曲がろうか |
青木公輔 |
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すれちがうひとにもらったばらのはな |
萩原皐月 |
ラ |
本命がゴール寸前落馬する |
村上静子 |
佳 |
医療ミスハプニングで済まされぬ |
上村さな恵 |
佳 |
クシャミした途端差し歯が抜けました |
前川千津子 |
佳 |
忘れてる鉢からふいとヒヤシンス |
椙元世津 |
佳 |
ハプニングの中で溺れている師走 |
吉川千穂 |
佳 |
ハプニングではち切れそうな旅鞄 |
大熊純三 |
人 |
先頭も次も転んだから一位 |
小山紀乃 |
地 |
ハプニングでしたあなたに添うたのは |
長島敏子 |
天 |
バージンロードよろけて踏んだ娘のドレス |
黒嶋海童 |
軸 |
百年の有為転変は幻か |
赤井花城 |
兼題 「本番」 みぎわはな
ラ |
本番はきっとゴールへ走りこむ |
泉比呂史 |
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幕上がる舞台の袖でとる訃報 |
倭玄海 |
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舞台の袖で無邪気に子供が待っている |
香川水聲 |
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冬本番朝寝朝酒置炬燵 |
神田巳珠 |
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新郎の父マニアル通りご挨拶 |
沼尾美智子 |
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アドリブが効いて本番盛り上がる |
尾畑晴代 |
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本番に弱いひたすら神だのみ |
荒垣秋野 |
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本番のカメラへ仔犬迷い込む |
赤井花城 |
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本番に強いそれだけの取り柄 |
青木公輔 |
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ぶっつけ本番度胸のよさは母ゆずり |
上村さな恵 |
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失敗も即興という技で抜け |
上月智恵子 |
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里芋をまあるく剥いて気を静め |
樋口祐子 |
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本番の手前にあった細い道 |
小山紀乃 |
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本番に弱くてうだつが上がらない |
萩原皐月 |
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本番になったら面を付け替える |
長島敏子 |
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渡り鳥冬本番を告げにくる |
御影静 |
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何度目の見合いか本番の気侭 |
武信与志夫 |
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本番は連打の鐘を効かせたい |
泉比呂史 |
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本番に強い男の高いびき |
黒嶋海童 |
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五四三二、一で飛び出す馬の脚 |
大橋克己 |
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バツイチに式の手順を教えられ |
島田握夢 |
ラ |
いつも本番わが人生に悔いはなし |
村上氷筆 |
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本番で失敗しても笑わせる |
坂本須磨代 |
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本番のつもりで見得を切ったのに |
長島敏子 |
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本番に涸れてしまった涙壷 |
毛利きりこ |
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本番の踊りに仮面ずれてくる |
中本三桂 |
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本番になると悪とも手を握る |
山中忠 |
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本番に弱い男の自己嫌悪 |
古谷日出夫 |
佳 |
ぶっつけ本番筋書きのない人の生 |
近藤敦子 |
佳 |
二千一年本番ですよ辛巳 |
尾畑晴代 |
佳 |
健さんのしゃっくりに本番待たされる |
島田握夢 |
佳 |
本番の度胸はおんな偏にある |
毛利きりこ |
佳 |
一期一会いつも本番だと思う |
萩原皐月 |
人 |
まだ何を迷う本番五分前 |
赤井花城 |
地 |
本番の日の太陽は信じよう |
松井恵夢 |
天 |
白鳥の鼓動を聴いたトウシューズ |
瀬川凪子 |
軸 |
壇上に立つと一瞬まっ白に |
みぎわはな |
兼題 「別離」 吉川千穂 選
ラ |
別離の日山はなんにも答えない |
泉比呂史 |
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おお父よ柩の釘を打ち終える |
黒嶋海童 |
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ありがとうあばよと幕を引けたらな |
近藤敦子 |
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さらさらと別離の刻へ落ちる砂 |
近藤敦子 |
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稲妻がぴかり別離の予感する |
御影静 |
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別離して自分自身をとり戻す |
尾畑晴代 |
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晩秋の山が燃えゆく別れよう |
田中節子 |
|
ひとことの失言愛が離れゆく |
みぎわはな |
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突然の別離ふる里の川逆のぼる |
沼尾美智子 |
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モーニングコール掛けてる別居中 |
小西慶子 |
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魚焼くきれいな別れなど出来ぬ |
花田俊枝 |
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おたまじゃくしのいなくなった田舎 |
藤川芳醇 |
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子育てが終えて私も巣立ちます |
水田象介 |
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ひとり居て秋日別れた日も秋日 |
前川千津子 |
|
髪梳いて別れの言葉背にうける |
山中忠 |
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二十世紀静かに別れ行く冬日 |
樋口祐子 |
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ほろ苦い想いが澱んでいる別れ |
上月智恵子 |
|
ある別れ女がひとりロビーゆく |
沼尾美智子 |
|
別離する冷えた返事に熱い鍋 |
吉田幸太 |
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風の駅別離に泣ける場所がない |
永田秀子 |
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船の別れは五色のテープからみあい |
坂本須磨代 |
|
影だけが私を離れついてゆく |
みぎわはな |
|
仮面はずす鏡の中へ来る別離 |
泉比呂史 |
|
つぶやきの中で別離を考える |
青木公輔 |
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別れの朝冬将軍がかけ足で |
沼尾美智子 |
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別れても連名で来る招待状 |
小西慶子 |
|
五番町斜めに抜けて来た別離 |
花田俊枝 |
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四コマ目に来るのは別離かもしれぬ |
泉比呂史 |
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小さくなる後姿に思慕つのる |
坂本須磨代 |
|
二度と逢えぬ今日一日のこの時間 |
みぎわはな |
|
突然の別離未完の絵が残る |
御影静 |
|
握る手に命が消えていく気配 |
小山紀乃 |
|
さようなら言えず黙って手を振った |
小山紀乃 |
|
家追われ一家別離の雀の子 |
神田巳珠 |
|
ミヨちゃんと別れる引越しは明日 |
小山紀乃 |
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いくたびの別離重ねる風の中 |
赤井花城 |
ラ |
大根を引き抜いてからグッドバイ |
樋口祐子 |
佳 |
信号点滅ここらあたりで別れよう |
長島敏子 |
佳 |
繰り返す別離少女は殻を脱ぐ |
御影静 |
佳 |
秋をさみしくするのは別離の二字だった |
青木公輔 |
佳 |
パチンコ屋あたりでクールに別れよう |
樋口祐子 |
佳 |
出会いが無ければ別離無いのになと思う |
青木公輔 |
人 |
さよならはすまいタンポポまだ青い |
長島敏子 |
地 |
航跡の白さよ母の島を発つ |
黒嶋海童 |
天 |
妙な男が荷物を取りに来た別離 |
島田握夢 |
軸 |
雨の駅おんなの涙みてしまう |
吉川千穂 |
兼題 「時」 村上氷筆 選
|
いつ時の闇だ世紀の夜が明ける |
赤井花城 |
|
昼時を狙ったように来るあいつ |
水田象介 |
|
時を作る音痴の鶏が一羽居る |
木村林吾 |
ラ |
二次会の時価が気になる握り鮨 |
神田巳珠 |
|
服薬を時には忘れ恙なし |
椙元世津 |
|
人生の悟り時々狂いだす |
吉川千穂 |
|
時経てど糟糠の亡妻忘られず |
木村林吾 |
|
あの顔で待つは時間の無駄でしよう |
倭玄海 |
|
よき時代大志を履いたほうば下駄 |
武信与志夫 |
|
王さまも時にはまたぐ水たまり |
花田俊枝 |
|
時々の出番小指の爪伸びる |
毛利きりこ |
|
散骨の時を待つのか伎芸天 |
山中忠 |
|
定年後二十五時など持たぬ今 |
坂下安伸 |
|
パラサイトシングル年貢納める佳人が出来 |
大橋克己 |
|
好きと言う時に邪心は無かったか |
泉比呂史 |
|
日時計の針に昨日は尋ねまい |
長島敏子 |
|
会う時は菩薩の様な顔で行く |
黒嶋海童 |
|
ほろ苦い時漂わせ古手紙 |
近藤敦子 |
ラ |
風動くその瞬間を逃さぬ手 |
長島敏子 |
|
お互いに分別の有る別れ時 |
大橋克己 |
|
好きとひと言時計の針がふと止まる |
大熊純三 |
|
夫や子の罪で哀しい時の人 |
黒嶋海童 |
|
いっときの夢かガラスの靴をはく |
上村さな恵 |
|
その一瞬時間が逆に回りだす |
小山紀乃 |
|
時効には出来ぬ青春だってある |
前川千津子 |
|
しがらみが時に背中を押す遍路 |
武信与志夫 |
|
もう一度可能へ返す砂時計 |
萩原皐月 |
佳 |
大切な時間介護に明け暮れる |
中本三桂 |
佳 |
身を責める時の仮面がはがせない |
赤井花城 |
佳 |
四捨五入のあたりうろうろする時計 |
小山紀乃 |
佳 |
その時がまだ熟さない指を折る |
吉野瑛二 |
佳 |
乱菊や時には秘事をまてあます |
花田俊枝 |
人 |
逆転へ一気に炎えるロスタイム |
大熊純三 |
地 |
子午線の裏に落ちてた怖い時 |
青木公輔 |
天 |
時々は影を踏んでる片想い |
山中忠 |
軸 |
身の内の時限爆弾宥めつつ |
村上氷筆 |
兼題 「チャンス」 泉比呂史
|
チャンスには縁がなかった枇杷の花 |
毛利きりこ |
|
命懸けのシャツター切ったクランプリ |
村上氷筆 |
|
据膳のチャンス逃がしてからの欝 |
橋本衛門七 |
|
握手するチャンス逃がしている軍手 |
沼尾美智子 |
|
チャンス待つ握りこぶしの熱い汗 |
長島敏子 |
|
映画出て来たら土砂降りというチャンス |
島田握夢 |
|
告白のチャンスありそうもみじ寺 |
坂本須磨代 |
|
このチャンス逃がしてなるか鞭入れる |
神田巳珠 |
|
またチャンス来ると信じて髭を剃る |
黒嶋海童 |
|
身に過ぎるチャンスにびびるあかんたれ |
村上氷筆 |
|
やっときたチャンス絶対ものにする |
村上静子 |
|
たんぽぽのチャンス受けてもいいですか |
田中節子 |
|
追い風が籍を入れよと背なを押す |
古谷日出夫 |
|
脇役に徹しチャンスに背を向ける |
上村さな恵 |
|
プロポーズのチャンスを呉れた月の道 |
松井恵夢 |
|
良いチャンスしかし話がおいし過ぎ |
井元照夫 |
|
あの時がチャンスだったと星が言う |
黒嶋海童 |
|
あの時がチャンスと知った後日談 |
吉川千穂 |
|
織ってゆく糸の継ぎ目にあるチャンス |
萩原皐月 |
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昇進のチャンスを早出して狙う |
橋本衛門七 |
|
チャンスを追ったおとこの足は行き昏れる |
花田俊枝 |
|
二度とないチャンス口紅濃ゆくする |
香川水聲 |
|
チャンスまだ握り拳をあたためる |
吉野瑛二 |
|
チャンスだと思わす花が活けてある |
花田俊枝 |
|
とある日のチャンスを灰にしてしまう |
田中節子 |
|
告白のチャンスを待っているレモン |
近藤敦子 |
|
君の目が笑った告白のチャンス |
萩原皐月 |
佳 |
目の前のチャンスへ遮断機が長い |
御影静 |
佳 |
追い風が吹いて来たのになぜ迷う |
古谷日出夫 |
佳 |
潮時を逃がし夕食までよばれ |
椙元世津 |
佳 |
今世紀まだ幾日かあるチャンス |
赤井花城 |
佳 |
バンジージャンプの先端で光っているチャンス |
大熊純三 |
人 |
昼時の食堂彼を遠く見る |
椙元世津 |
地 |
意地悪な神がチャンスをちらつかせ |
毛利きりこ |
天 |
ゆっくりとチャンスを狙う亀の首 |
御影静 |
軸 |
吊り橋が揺れるチャンスは逃がさない |
泉比呂史 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
坂本須磨代 |
武信与志夫 |
青木 公輔 |
井元 照夫 |
上村さな恵 |
吉田 幸夫 |
長島 敏子 |
神田 巳珠 |
松井 恵夢 |
沼尾美智子 |
田中 節子 |
小西 慶子 |
村上 氷筆 |
仲田 秀子 |
黒嶋 海童 |
香川 水聲 |
吉川 千穂 |
花田 俊枝 |
古谷日出夫 |
藤川 芳醇 |
村上 静子 |
萩原 皐月 |
尾畑 晴代 |
椙元 世津 |
近藤 敦子 |
倭 玄海 |
山中 忠 |
水田 象介 |
御影 静 |
橋本衛門七 |
樋口 祐子 |
毛利きりこ |
泉 比呂史 |
島田 握夢 |
大熊 純三 |
前川千津子 |
大橋 克己 |
小山 紀乃 |
荒垣 秋野 |
田中加津子 |
吉野 瑛二 |
みぎわはな |
瀬川 凪子 |
木村 林吾 |
赤井 花城 |
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