平成12年5月21日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「みどり」 島田握夢 選
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ふるさとの緑の中へ泣きに行く |
荒垣秋野 |
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新緑がまぶしく無沙汰の娘来る |
山田蔦路 |
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緑濃く不満ばかりの婦人会 |
前川千津子 |
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川の字で歩く親子に風みどり |
吉野瑛二 |
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たっぷりと感動もろてくる緑 |
吉川千穂 |
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癒え近し緑に試歩の杖がある |
泉比呂史 |
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逢いにゆく日傘がはずむみどり風 |
仲田秀子 |
ラ |
風みどり失恋のかずふとよぎる |
前川千津子 |
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森の中走れば幼い日に出逢う |
みぎわはな |
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妖精が棲む山は緑の方がよい |
みぎわはな |
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子馬になれ緑の風に溶けてゆけ |
中西保子 |
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みどりから抜けだして来た脛の傷 |
竹信与志夫 |
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大の字になって芝生へ腕枕 |
古谷日出夫 |
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新緑をおさえて桜まだ残り |
福島直球 |
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緑の谷間に飛んでいった帽子 |
中西保子 |
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初めてのグリーンに妻も落ち着かず |
黒嶋海童 |
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緑陰のベンチが脱がす夏帽子 |
古谷日出夫 |
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風緑子山羊も午後は眠うなり |
橋本衛門七 |
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いじめのトンネルからみどりの子供飛んで出る |
坂本須磨代 |
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風みどり手足を舐めてはらみ猫 |
田中要保 |
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ひとりでも淋しくはない五月の森 |
田中節子 |
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のんびりと生きる森林浴の中 |
上村さな恵 |
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さゆらぐヒップ百の緑の中を行く |
田中節子 |
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新緑に躁になってる手も足も |
羽佐田そのみ |
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みどり皆わがものして求婚す |
泉比呂史 |
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この人も幸せらしい緑の絵 |
松井恵夢 |
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鬼あざみこんな処で萌えはじめ |
大橋克己 |
佳 |
葉桜に一ぷくをする句碑が読め |
大橋克己 |
佳 |
鬱憤をはらす緑の丘を駆け |
萩原光華 |
佳ラ |
安定を求め緑の色を着る |
田中加津子 |
佳 |
まず山の緑で朝が動き出す |
椙元世津 |
佳 |
みどり濃き公園のベンチ無口のわたし |
坂本須磨代 |
人 |
さよならをいっぱいしっているみどり |
吉川千穂 |
地 |
一駅を君と歩こう風みどり |
仲田秀子 |
天 |
平凡に緑をほめて新築す |
山田蔦路 |
軸 |
新緑の小径式の日取りなど語り |
島田握夢 |
兼題 「飯」 田中節子 選
ラ |
フライパン叩いて飯どきを知らす |
中西保子 |
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麦めしでみんな素直な子に育ち |
上月智恵子 |
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にぎり飯ほほばる首に汗タオル |
沼尾美智子 |
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三浪のそれでも減らぬ飯の嵩 |
橋本衛門七 |
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冷飯に今の根性育てられ |
坂下安伸 |
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残飯が反乱おこすかもしれぬ |
みぎわはな |
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おにぎりがこんなに美味しい野良仕事 |
近藤敦子 |
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一宿一飯の恩言うて聞かせ |
樋口祐子 |
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空き腹へめし屋ののれん風に揺れ |
上月智恵子 |
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目分量の飯をおとこが炊く時勢 |
花田俊枝 |
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飯盒の飯がみるみる減るキャンプ |
村上氷筆 |
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男同志何か語らいめしや混み |
椙元世津 |
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飯盒のこげ飯旨いキャンプの火 |
黒嶋海童 |
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麦飯を食べた歴史に自負がある |
泉比呂史 |
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これからも飯を仲よく対茶碗 |
村上氷筆 |
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飯つぶを拾う姑には負けました |
花田俊枝 |
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一升飯毎日炊いた母の背な |
大橋克己 |
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冷飯としんみり過去を語る夜半 |
長島敏子 |
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深呼吸ああ山頂のにぎり飯 |
小山紀乃 |
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理屈など言わずどんぶり飯はうまい |
羽佐田そのみ |
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飯粒でべたべた貼ったラブレター |
樋口祐子 |
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昇格の彼は冷めし食った仲 |
御影静 |
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早飯とひやかされてもなんのその |
田中加津子 |
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うさん臭い平和蓋の飯粒捨てられぬ |
みぎわはな |
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銀シャリの言葉が消えてから寒い |
長野峰明 |
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看板の「めし」を見つけた腹の虫 |
中西保子 |
ラ |
お茶付けの飯にブレーキかからない |
木村林吾 |
佳 |
もう飯を済ませた父は靴を履き |
大橋克己 |
佳 |
チンの飯とは仏壇気付かない |
島田握夢 |
佳 |
残したら怒られた飯屋の主人 |
羽佐田そのみ |
佳 |
無造作に大口あけて飯を食う |
山田蔦路 |
佳 |
縛られはせぬ一飯の軽い義理 |
赤井花城 |
人 |
三分で食べ終えるのが飯である |
島田握夢 |
地 |
麓から山田へ昼餉告げる声 |
黒嶋海童 |
天 |
味噌汁をぶっかけうるさいのが居ない |
島田握夢 |
軸 |
行商のおばさん飯にどかっとおかか |
田中節子 |
兼題 「道草」 坂本須磨代 選
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道草にそろそろ飽きが来たアヒル |
上村さな恵 |
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道草をしてるかとかげ動かない |
前川千津子 |
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遠い秘密ふたりで食べた野のいちご |
沼尾美智子 |
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ランドセル投げ出して摘むレンゲ草 |
古谷日出夫 |
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母となっても道草の癖抜けず |
福島直球 |
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道草で拾った種が育ってる |
荒垣秋野 |
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道草が好きなこの子の可能性 |
田中要保 |
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道草をたっぷり食って弾む鞠 |
村上氷筆 |
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新しいスニーカー今日も道草Vサイン |
小西慶子 |
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脇道に落ちてた夫拾いました |
みぎわはな |
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道草も楽しウィンド夏が来る |
前川千津子 |
ラ |
道草で目が合い仔犬従いてくる |
田中要保 |
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道草の川に流した答案紙 |
沼尾美智子 |
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道草に立寄ったまま森にいる |
近藤嘉宏 |
ラ |
片翼になって道草多くなる |
中西保子 |
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道草はいいな花がにっこりしてくれる |
中西保子 |
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樹の下に埋めた幼な恋ひとつ |
みぎわはな |
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道草が病みつきになる旅鞄 |
赤井花城 |
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道ばたの花としばらく立ち話 |
古谷日出夫 |
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道草の目にひまわりが眩しすぎ |
長島敏子 |
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道草をくって拾った恋もある |
上月美智子 |
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道草をしたがる赤い靴をはく |
小山紀乃 |
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道草の樹の下にあるランドセル |
赤井花城 |
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道草の言い訳犬のせいにする |
福島直球 |
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道草の古刹で父に似た羅漢 |
倭玄海 |
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道草の数だけ丸く生きた父 |
御影静 |
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道草も時々明日の糧とする |
上月智恵子 |
佳 |
筍もろたんで道草せず帰る |
島田握夢 |
佳 |
入退院いく度道草ばかりする |
吉野瑛二 |
佳 |
道草の数だけ人は丸くなる |
松井恵夢 |
佳 |
野の花が可憐遠回りして帰る |
上月智恵子 |
佳 |
はぐれたと言うことにして喫茶店 |
島田握夢 |
人 |
道草のふと飛び降りた無人駅 |
赤井花城 |
地 |
道草の背なを挽歌が追うてくる |
上村さな恵 |
天 |
長い道草だったねお風呂がさめますよ |
青木公輔 |
軸 |
道草の遊びの中にあるまこと |
坂本須磨代 |
兼題 「静」 福島直球 選
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過去未来見透かしている静かな眼 |
みぎわはな |
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体重計しずか静かに首を振る |
樋口祐子 |
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教室の妙な静けさから狂う |
小山紀乃 |
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病院の静けさへ追いつめられてゆく |
島田握夢 |
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ページ繰る音のみ晩春の夜が更ける |
上月智恵子 |
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平静をよそおう嫉妬青白く |
村上氷筆 |
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応援をあきらめている10対0 |
前川千津子 |
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あまり静かで妻が他人に見えてくる |
上村さな恵 |
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亡母の立ち居が染みて静かな黄楊の櫛 |
橋本衛門七 |
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友の訃を静かに溶かす五月闇 |
長島敏子 |
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ライバルの静かな笑みを見る不気味 |
松井恵夢 |
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座ぶとんの窪み静かな男だった |
田中節子 |
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小心の男静かに席はずす |
山田蔦路 |
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亡き兵を偲び静かに仏彫る |
仲田秀子 |
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食卓のひとりが静か気にかかる |
小山紀乃 |
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子の部屋が妙に静かでノックする |
赤井花城 |
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分け入った静かな森に救われる |
吉野瑛二 |
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静かな仏間亡母が座っている気配 |
尾畑晴代 |
ラ |
滑らした一言ざわめきが止まる |
近藤敦子 |
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喝采が静止画像のまま残り |
竹信与志夫 |
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よく弾むまりの行方が静かすぎ |
青木公輔 |
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静けさの茶室の中の湯のたぎり |
倭玄海 |
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裏切りに音なく落ちる沙羅の花 |
花田俊枝 |
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射程距離の女に静かな闇がある |
橋本衛門七 |
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桃さくら終わり伝言板静か |
花田俊枝 |
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静寂が歓喜に変わる呱々の声 |
村上氷筆 |
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七堂伽藍静かでこころ盗まれる |
上村さな恵 |
佳 |
妙に静かだ美人のヌード描いている |
大橋克己 |
佳 |
引き際のあすを静かに抱いている |
御影静 |
佳 |
寝静まり妻が安らぐ仕舞い風呂 |
倭玄海 |
佳 |
人間の殻を静かに脱いでゆく |
中本三桂 |
佳 |
わたくしの中のけものが静止した |
田中節子 |
人 |
末席で静かな顔の抱く叛旗 |
竹信与志夫 |
地 |
消去法静かに私消えるのみ |
尾畑晴代 |
天 |
静かにしずかにさなぎが過去を脱いでいる |
坂本須磨代 |
軸 |
はしゃぎ屋が静か失恋したらしい |
福島直球 |
兼題 「遠慮」 泉比呂史 選
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遠慮なく話せる友がいてくれる |
近藤敦子 |
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打つ杭の位置に遠慮の嫁姑 |
松井恵夢 |
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奥さんが居るのでそっと遠会釈 |
大橋克己 |
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遠慮無くうたうマイクが軽くなる |
竹信与志夫 |
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遠慮してないでと背中ポンと押し |
福島直球 |
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遠慮したつもりの善意報われず |
吉野瑛二 |
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寄せ書の隅のサインが小さ過ぎ |
橋本衛門七 |
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遠慮しながら叱言を吐いているアサリ |
上村さな恵 |
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控え目の姿勢くずさぬ敷居際 |
小山紀乃 |
ラ |
もう一杯欲しいけどおトイレが近い |
島田握夢 |
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ほどほどにせいと遠慮が叱られる |
椙元世津 |
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遠慮して柱のかげで見る仏 |
長島敏子 |
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遠慮して断ったのに伝わらず |
近藤嘉宏 |
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深謀遠慮天下を盗む古狸 |
長野峰明 |
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遠慮して末席につく昼下がり |
田中加津子 |
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不遠慮な風に乗ってる好奇心 |
竹信与志夫 |
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大皿に一つ残っている遠慮 |
萩原光華 |
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お迎えの車を遠慮して遅刻 |
福島直球 |
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幼な子の上目づかいがいとおしい |
田中要保 |
ラ |
遠慮がちな母が結局差配する |
みぎわはな |
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泣く人の前へ不遠慮なマイク |
荒垣秋野 |
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出る幕でないご招待遠慮する |
前川千津子 |
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プッシュホンはっきりご遠慮もうしあげ |
中西保子 |
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実家の祝い遠慮しいしい包んでる |
中西保子 |
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軽い遠慮で甘茶の杓を受けている |
橋本衛門七 |
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遠慮なく馳走になった妻の里 |
吉野瑛二 |
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遠慮する人にまっ赤な薔薇を切る |
沼尾美智子 |
佳 |
通夜の席九官鳥の置きどころ |
花田俊枝 |
佳 |
遠慮する花へたっぷり水をやる |
古谷日出夫 |
佳 |
のど元につかえた言葉持ち帰る |
上村さな恵 |
佳 |
兄嫁にみやげが多い里帰り |
羽佐田そのみ |
佳 |
遠慮する人に回ってきた主役 |
御影静 |
人 |
座布団を固辞し切り出すことがある |
赤井花城 |
地 |
つたかずらちょっと無遠慮すぎないか |
近藤敦子 |
天 |
遠慮する父母へ出し合う旅行券 |
古谷日出夫 |
軸 |
シルバーシートわたし絶対遠慮する |
泉比呂史 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
松井 恵夢 |
古谷 日出夫 |
倭 玄海 |
上村 さな恵 |
近藤 嘉宏 |
田中 要保 |
沼尾美智子 |
近藤 敦子 |
竹信与志夫 |
黒嶋 海童 |
田中 節子 |
木村 林吾 |
大橋 克己 |
花田 俊枝 |
仲田 秀子 |
泉 比呂史 |
長野 峰明 |
萩原 光華 |
吉川 千穂 |
山田 蔦路 |
長島 敏子 |
坂本須磨代 |
小西 慶子 |
吉野 瑛二 |
羽佐田そのみ |
島田 握夢 |
橋本衛門七 |
福島 直球 |
椙元 世津 |
尾畑 晴代 |
みぎわはな |
前川千津子 |
荒垣 秋野 |
田中 加津子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
村上 氷筆 |
坂下 安伸 |
御影 静 |
中本 三桂 |
青木 公輔 |
小山 紀乃 |
上月智恵子 |
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