平成12年3月18日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「花いろいろ」 長島敏子 選
ラ |
大橋を渡れば夢の花の島 |
吉川千穂 |
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花博に友達を呼ぶくぎ煮炊き |
沼尾美智子 |
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地震五年逝きし娘に泣く彼岸花 |
倭玄海 |
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花びらを千切ってあすの夢もらう |
神田巳珠 |
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徳利へ挿した椿の人を恋う |
小西慶子 |
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食べごろを母とわけ合う花菜漬 |
仲田秀子 |
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満を持し笑み蓄えている蕾 |
萩原皐月 |
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本当母にあげたいブーケです |
黒嶋海童 |
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時計草羅災の友を訪う校舎 |
吉野瑛二 |
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れんげたんぽぽ花博覧の蔭で咲く |
萩原皐月 |
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心から不孝を侘びる花手桶 |
古谷日出夫 |
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庭いじり花いろいろの中に母 |
椙元世津 |
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月の花壇に飢えた黒人霊歌聞く |
花田俊枝 |
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茄子の花咲いて子のこと嫁のこと |
上村さな恵 |
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目立ちたい椿は音をたてて落ち |
田中要保 |
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花いろいろ罪もいろいろ交差点 |
黒嶋海童 |
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命日は母好きだった花を購う |
村上氷筆 |
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混合種播いてわが家の花遍路 |
近藤嘉宏 |
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花いろいろ蜂にもあった自尊心 |
竹信与志夫 |
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花博へパールブリッジ一直線 |
大橋克己 |
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花時計かっては勤めし庁舎あと |
吉野瑛二 |
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すみれタンポポ横目に遍路旅つづく |
上村さな恵 |
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庭ぼうきこんなところに桜草 |
田中要保 |
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散り急ぐ春に先駆け若乃花 |
大橋克己 |
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着ぶくれに一枚脱いだ花の宴 |
倭玄海 |
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花言葉知らないまんま人に会い |
山田蔦路 |
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花いろいろ心迷いがまだ解けぬ |
柿木英一 |
佳 |
ここだここだと遠景の山桜 |
近藤敦子 |
佳 |
ひと坪を花で埋めている憂い |
萩原皐月 |
佳 |
すみれたんぽぽれんげを摘んで児に戻る |
小山紀乃 |
佳 |
来る来ない切ない想い花弁?ぐ |
村上氷筆 |
佳ラ |
花の夢いろいろ少女から女 |
柿木英一 |
人 |
桜降るきれいな別れ言い出せず |
仲田秀子 |
地 |
花博の約束をする朧月 |
前川千津子 |
天 |
倖せを花回廊で待ち合わす |
山本ひさゑ |
軸 |
ばらが咲くポツンと風の真ん中で |
長島敏子 |
兼題 「飽きる」 藤川芳醇 選
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冬を飽き春の芽吹きと欠伸する |
吉川千穂 |
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春の潮浮きの動きを飽きもせず |
大橋克己 |
ラ |
吊りビラに見飽きて山の緑良し |
椙元世津 |
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人形に飽きてたまには風を待つ |
坂下安伸 |
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結局は思案に飽いたそば枕 |
上村さな恵 |
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世渡りに飽て都会の隅に住み |
山田蔦路 |
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助手席に飽きて定年免許取る |
毛利きりこ |
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ゲーム機に飽いて父子が蝶になる |
吉野瑛二 |
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書に飽きて絵に倦みひとり予後の日々 |
黒嶋海童 |
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やりくりに飽いた女のサングラス |
上村さな恵 |
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飽きもせず迫真の技斬られ役 |
竹信与志夫 |
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二言目には変らぬ持論へもつれこむ |
萩原皐月 |
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熟年の手前で直る倦怠期 |
村上氷筆 |
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カラオケに飽きて詩吟を唸る妻 |
村上氷筆 |
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酔う程にあきずに父の従軍歌 |
松井恵夢 |
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定位置に飽いた蟻から飛ばされる |
柿木英一 |
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飽きもせず夫の軍歌海ゆかば |
倭玄海 |
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人間が小さいやっぱり飽いてくる |
山田蔦路 |
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ワープロに飽いてモカとブラームス |
萩原皐月 |
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うさぎ小屋飽きて独り身巣立ちする |
井元照夫 |
ラ |
飽きられた棚のこけしの細い眉 |
赤井花城 |
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ある日消えた見飽きた街の幼稚園 |
沼尾美智子 |
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いい人に飽きて時には首を振る |
瀬川凪子 |
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焼き肉に飽き茶漬屋の戸を開ける |
山本ひさゑ |
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飽食の果ての芋粥啜りたや |
赤井花城 |
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もうグルメいや浅漬がいい茶漬 |
小山紀乃 |
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飽食の巷で愛を見失う |
柿木英一 |
佳 |
朝餉には鰺の干物とおみおつけ |
瀬川凪子 |
佳 |
だれを哭かせた男美学に飽きがくる |
花田俊枝 |
佳 |
泣き飽きて障子に穴を子はあける |
井元照夫 |
佳 |
インターネット三日坊主の高笑い |
小西慶子 |
佳 |
あきる程薬をのんで居る余命 |
松井恵夢 |
人 |
聴き飽きて仏の貌を見失う |
山本ひさゑ |
地 |
エリートの神輿を担ぐノンキャリア |
瀬川凪子 |
天 |
耳の胼胝なにより証拠飽いている |
吉野瑛二 |
軸 |
相惚れの仲いつか飽きるってよ都々逸 |
藤川芳醇 |
兼題 「様々」 柿木英一 選
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様々な耳を集めて読経する |
中本三桂 |
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イントロの長さ人生様々で |
青木公輔 |
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コマーシャルあの手この手で攻めてくる |
近藤敦子 |
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組替もあります春のウェディング |
毛利きりこ |
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季の巡り花様々な掟持ち |
松井恵夢 |
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意見さまざま迷走会議まだ続く |
小山紀乃 |
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ラウンジのグラスで見せる人模様 |
山本ひさゑ |
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様々な思いが交錯する枕 |
萩原皐月 |
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様々と思えば風と生きられる |
荒垣秋野 |
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様々な波に挟まれた貝ボタン |
瀬川凪子 |
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老舗倒る噂様々流される |
黒嶋海童 |
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様々な意見社長は腕を組み |
椙元世津 |
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さまざま人動きだす午前四時 |
樋口祐子 |
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何処にゆく想い様々フリーター |
沼尾美智子 |
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様々なポーズで猫の日向ぼこ |
古谷日出夫 |
ラ |
合格発表喜怒哀楽の渦の中 |
村上氷筆 |
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咲き競う花の息吹が聞けますか |
近藤敦子 |
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愛は様々私はわたしのドラマ抱く |
萩原皐月 |
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さまざまな人間模様終電車 |
井元照夫 |
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太陽が様々の春つれてくる |
御影静 |
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眼裏にひと様々の明日がある |
御影静 |
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様々な流転みている風見鶏 |
小西慶子 |
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様々の試練に堪えた今がある |
御影静 |
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花が散る様々の恋よぎらせて |
赤井花城 |
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さまざまな噂をもって来た女 |
村上氷筆 |
ラ |
様々な生き方教える老教師 |
荒垣秋野 |
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様々なストレス運ぶ春の風 |
近藤嘉宏 |
佳 |
客の彩様々になり春走る |
近藤嘉宏 |
佳 |
出棺に十人十色の掌を合わせ |
大橋克己 |
佳 |
様々な顔して人は生きていく |
前川千津子 |
佳 |
図書館の棚に人生のサンプル |
小山紀乃 |
佳 |
様ざまな想い女の川流れ |
吉川千穂 |
人 |
裏街のネオンの下の人模様 |
長島敏子 |
地 |
ホームレスの横ブランドの美女がいく |
小山紀乃 |
天 |
泣き顔も笑顔も乗せて船が出る |
長島敏子 |
軸 |
靖国のさくらへ様々な戦後 |
柿木英一 |
兼題 「気分」 田中要保 選
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いい気分娘の買ってきたさくらもち |
近藤嘉宏 |
ラ |
耳かきにうとうと妻の膝まくら |
古谷日出夫 |
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大物が気分次第で振るしっぽ |
御影静 |
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万華鏡覗きくしゃくしゃ吹き飛ばす |
村上氷筆 |
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虫干しをし度い気分の二日酔い |
大橋克己 |
|
その時の気分次第で靴の色 |
萩原皐月 |
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気分屋のきつい女に疲れだす |
山本ひさゑ |
|
こだわりを捨てて気楽になった肩 |
近藤敦子 |
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気分上々みんながボクを見つめる日 |
村上氷筆 |
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ジャガールの眼鏡を借りている気分 |
花田俊枝 |
|
重役の気分ワインをほめている |
山田蔦路 |
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猛烈に一杯欲しい休肝日 |
大橋克巳 |
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気分屋が入ってからの輪がいびつ |
上月智恵子 |
ラ |
レモンティ妻の気分を計ってる |
吉野瑛二 |
|
気分よく飲んだ財布がくしゃみする |
沼尾美智子 |
|
その時の気分で膝に来る仔猫 |
長島敏子 |
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春めいて少うし派手な帽子買う |
松井恵夢 |
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気分屋の私を風がまた煽る |
赤井花城 |
|
大根を刻むリズムが心地よい |
毛利きりこ |
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カラオケでひばりになっている気分 |
黒嶋海童 |
|
酒酒酒ご機嫌さんであなた待ち |
樋口祐子 |
|
いい気分の侭で冥土へ父は逝き |
黒嶋海童 |
|
家具の位置気分転換する夫婦 |
神田巳珠 |
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飲まされていつか口説かれ良い気分 |
藤川芳醇 |
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ぐっすりと眠った軽い朝の靴 |
萩原皐月 |
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春霞のんびり歩くことにする |
椙元世津 |
|
ハンガーに今日の気分を吊っておく |
神田巳珠 |
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散髪のさっぱり少し男前 |
前川千津子 |
佳 |
納税の気分いいやら悪いやら |
椙元世津 |
佳 |
その時の気分で献体それもよし |
荒垣秋野 |
佳 |
ドンと一発花火を打ち上げた気分 |
小山紀乃 |
佳 |
謎解きの気分でひょいと覗く井戸 |
長島敏子 |
佳 |
気分屋で困るわたしの影法師 |
柿木英一 |
人 |
ほんの気分大きいケーキ兄に盛り |
黒嶋海童 |
地 |
校門を出る少年に青い海 |
坂下安伸 |
天 |
気分屋の娘が今朝は会釈する |
倭玄海 |
軸 |
万札の封切る時のいい気分 |
田中要保 |
兼題 「湯」 山本ひさゑ 選
|
ぬるま湯に慣れ大海へ漕ぎ出せぬ |
近藤敦子 |
|
ぬるま湯へ浸かる順序が添えてある |
青木公輔 |
ラ |
山の湯に小さい老母の背を流す |
仲田秀子 |
|
レモンテイーのちいさな湯気にある会話 |
吉野瑛二 |
|
湯加減を訊かれてからの縁となる |
青木公輔 |
|
ぶぶ漬けでも京都の世辞は聞き流し |
大橋克己 |
|
明日の日を組立て妻の仕舞風呂 |
松井恵夢 |
|
柚湯から父子のはしゃぐ声がもれ |
古谷日出夫 |
|
露天風呂即かず離れず音のなか |
小西慶子 |
|
湯気の立つ議論の果てが見えてくる |
小山紀乃 |
|
庄助とゆっくり入る朝の風呂 |
坂下安伸 |
|
終い湯に流す女の罪一つ |
古谷日出夫 |
|
長湯風呂夫が覗き生きてるか |
井元照夫 |
|
湯もみ唄聞いて至福の刻といる |
上村さな恵 |
|
笑い皺湯呑み二つを聞く蜜柑 |
竹信与志夫 |
|
しあわせなのか押すと出る湯のくらし |
萩原皐月 |
|
湯豆腐の湯気にことばをあたためる |
赤井花城 |
ラ |
一日の棘は静かに湯に落ちる |
瀬川凪子 |
|
キッチンの湯気を透して好い笑顔 |
小西慶子 |
|
ぬるま湯に浸かった肩が出られない |
瀬川凪子 |
|
郷愁やゆと染め抜いたのれんにも |
田中要保 |
|
ひとり居の湯を注ぐ音雨の音 |
近藤敦子 |
|
湯に浸り今日一日が満ちて来る |
黒嶋海童 |
|
煮え湯また呑まされてから貝になる |
小山紀乃 |
|
面影の残る湯呑みが今も生き |
御影静 |
|
段取りの悪さを百度の湯が笑う |
萩原皐月 |
|
押しながら考えているポットの湯 |
椙元世津 |
佳 |
もう二度と愚痴が聞けない対湯呑み |
古谷日出夫 |
佳 |
ぬるま湯で今日の喜劇を裏返す |
柿木英一 |
佳 |
ぬるま湯の中で抜け道考える |
失名 |
佳 |
客蒲団しまい肩まで湯に浸かる |
沼尾美智子 |
佳 |
銭湯が消えてしまった風の街 |
毛利きりこ |
人 |
俺様の産湯の井戸がまだ残り |
大橋克己 |
地 |
人間の形で入るしまい風呂 |
吉川千穂 |
天 |
ぬるま湯に浸かり礼儀を忘れかけ |
樋口祐子 |
軸 |
丁寧な言葉で受けるさくら湯と |
山本ひさゑ |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
吉野 瑛二 |
田中 要保 |
村上 氷筆 |
上村 さな恵 |
近藤 敦子 |
近藤 嘉宏 |
沼尾 美智子 |
竹信与志夫 |
仲田 秀子 |
古谷 日出夫 |
樋口 祐子 |
長島 敏子 |
大橋 克己 |
山田 蔦路 |
柿木 英一 |
井元 照夫 |
荒垣 秋野 |
藤川 芳醇 |
黒嶋 海童 |
瀬川 凪子 |
椙元 世津 |
花田 俊枝 |
神田 巳珠 |
小山 紀乃 |
萩原 皐月 |
御影 静 |
坂下 安伸 |
前川 千津子 |
山本 ひさゑ |
倭 玄海 |
毛利 きりこ |
吉川 千穂 |
小西 慶子 |
赤井 花城 |
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